ソリューションストーリー

ランセット
STORY 01

安全性を追求した、
医療用器具「ランセット」開発の軌跡

私たちの暮らしを支える医療現場。その安全性を追求することも、当社の一つの使命です。当社のグループ会社である株式会社旭ポリスライダーは、35年以上の長きにわたり糖尿病患者の血糖値測定に使用される医療用器具「ランセット」の製造を行ってきました。2000年代に医療現場やお客様からの声を受け、当社とともに医療現場の安全性向上を実現する新しいモデルの開発に取り組みました。そして開発された新たな製品は安全性が大きく向上し、お客様に採用いただくことになりました。

お客様情報

血糖測定とデジタルヘルステクノロジー分野の
世界的な医療機器メーカー

提供ソリューション

当社とグループ会社の株式会社旭ポリスライダーで協業し、使用後に自動的に針が格納される構造を持つ製品を開発。新しいモデルは血液感染のリスクを大幅に軽減することができました。

1. 針先の露出が血液感染のリスクに

イラスト:ランセットの針がむき出しになっていて困った様子の医療関係者

「ランセット」とは指先等から微量の血液を採取するための小型の医療器具です。主に糖尿病患者が血糖値を測定する際に使用されており、製品の製造には高レベルな品質管理・供給能力・安全性が求められます。
採血は針を主に指先に穿刺しますが、なるべく患者様が痛みを感じないように、針は非常に細くて短いものを使用します。ランセットは使い捨ての器具となりますが、当時の主流モデルは採血後に針が露出したままだったため、使用済器具からの血液感染リスクが医療関係者の間で懸念されるようになりました。そういった現場の声に真摯に向き合い、より安全な仕組みの製品を開発するため、当社と旭ポリスライダーとの協業が始まりました。

2. 1年半の試行錯誤を経て誕生した新たなモデル

イラスト:試行錯誤して製品開発を進める様子

協業を進める中で、当社はお客様から使用後に針がケースに格納される仕様のランセットの開発依頼を受け、旭ポリスライダーとともに本格的な製品開発を進めました。かねてより具体化を進めていたアイデアをベースに、デザインや機能面ではお客様と協力。開発期間は約1年半に及びました。
開発当初、当社は医療機器の法的規制や試験の実施などに関する知識や経験が豊富であるとはいえませんでした。特に試験では、我々がすべてを独自に行わなければならず、想定以上の多くの時間と労力を要しました。
また旭ポリスライダーは古くからランセットの製造・販売を行っていたものの、委託製造が中心だったため、両社で開発を進めるのは初めての挑戦でした。約1年半、何度もお客様の元に足を運び、綿密に打ち合わせを重ねることで、ついに使用後に自動的に針が格納される構造を完成させました。

3. ニーズに合致した新たなランセットは、瞬く間に市場に拡大

イラスト:新たなランセットが開発され、喜ぶ医療関係者

安全性が高まった画期的なランセットは、血液感染のリスクが軽減されること、より安全に廃棄ができることから、お客様に採用いただき、国内の多くの医療現場で使用されることになりました。この挑戦と成果は、医療現場の安全性向上と患者の健康維持に大きく貢献し、当社の化成品部門全体の成長とともに、社会への責任を果たす企業としての姿勢を確立する契機となりました。また化成品部門では継続的な事業展開が行われ、新たな医療用製品の開発にも取り組んでいます。
医療技術の進歩は、人々の命を守る最前線です。今後も当社は、安全・安心・使いやすい製品開発を通じて、医療現場のニーズに応えるだけでなく、すべての人々が安心して医療を受けられる社会の実現に貢献していきます。