1. ダイオキシン規制法の導入により市場環境が大きく変化

1990年代頃まで、日本の都市ごみ焼却施設では、ダイオキシン類を抑制するための集塵機の使用が義務化されておらず、その必要性もあまり問われていませんでした。しかし2000年に「ダイオキシン類対策特別措置法」が施行されると、全国の都市ごみ焼却場では有害物質であるダイオキシン類を効果的に除去するため、集塵機への高性能集塵フィルターの導入が急務となり、フィルター市場は劇的な転換期を迎えることとなりました。 ダイオキシン類の効率的な除去には、活性炭とフィルターの組み合わせが効果的です。当社は迅速な意思決定のもと、原反メーカーと強固なパートナーシップを構築。さらに集塵機メーカーと連携し、ダイオキシン抑制に優れた「テファイヤー®」の販売を開始しました。全国約1800ヶ所ある都市ごみ焼却場のうち、約1300ヶ所が新たなフィルターの導入が求められる中、約500ヶ所に新しいフィルターを納入し、各施設の法令順守・環境対応に貢献しました。 当時、都市ごみ焼却施設という高温環境下で使用できるフィルター素材は非常に高額で、その取り扱いには大きな資本力が必要とされましたが、当社に強固な財務基盤があったことも、この分野における優位性確保の重要な要因となりました。
2. 柔軟な販売戦略で競争の激化に適応

しかし数年後には、ごみ焼却施設向け高性能フィルターの市場が成熟。素材価格の安定化と、競合他社の追随により、競争環境は激しさを増していました。競争の激化に対応するため、当社は集塵機メーカーとの連携を一段と強化し、さらに顧客ニーズを的確にとらえた提案を行うことで継続的に受注を確保しました。また、従来の「モノを売る」アプローチから脱却し、包括的なアフターサービスやメンテナンス体制を充実させ、顧客との長期的な信頼関係構築に着手。地方自治体や大手メーカーなど新たな顧客層へのアプローチにも力を入れました。2021年には工事部を独立させ、より専門的なサービスの提供を開始。製品販売から派生する諸問題を抜本的に解決し、万全の安全管理体制のもと徹底した品質保証を実現しました。 さらにフィルターの品質の維持・向上と価格競争力の両立のため、新たに自社での製造能力と品質管理を一層強化。技術革新と顧客目線のソリューション提供を両立させることで、市場で常に一歩先を行くパイオニアの精神を保ち続けています。
3. 信頼関係により、提案の第一歩を踏み出せる地位を獲得

現在は高付加価値フィルターの加工品販売の強化と最適なサプライチェーンの構築を進めるとともに、新たな高温ろ過フィルターの開発および空気清浄機などに使用されるフィルターへの技術展開を図っています。また縫製を行うグループ会社を設立することで、内製化に加え生産能力の向上と品質保証体制の確立、商品力の強化を進めて きました。今後はこれらの事業を統合した大規模な工場の設立も見据えており、製品の差別化やコスト削減にも工夫を凝らしています。競合他社の台頭も著しい中、長年培ってきた顧客との信頼、そしてテファイヤー®開発時に築いた設計担当者との関係を最大の資産として、お客様の新しい案件や難しい技術的課題に対して、一番にご相談をいただけるソリューションパートナーとしての地位を確立しています。